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コラム 2023月01月17日

《コラム》労働生産性と働き方改革

◆労働生産性と働き方改革の関係
 「生産性=成果÷投入量」ですので「労働生産性=付加価値÷総労働時間」となります。
 国が推し進める「働き方改革」の目的は一貫してこの「労働生産性の向上」です。労働生産性の算式を見てわかる通り労働生産性を上げるには「付加価値を上げる」か「総労働時間を下げる(短くする)」しかありません。既に実施されている各種の働き方改革の施策、例えば「罰則付き労働時間上限規制」や「年次有給休暇の取得義務化」などは後者の「総労働時間を下げる(短くする)」ための施策で、「働き方改革フェーズⅠ」といわれるものです。これに対して「働き方改革フェーズⅡ」といわれる施策も進められようとしています。つまり、これからの働き方改革の施策は「付加価値を上げるため」のものということができます。

◆働き方改革フェーズⅡ
 働き方改革フェーズⅡについての具体的な施策はまだ施行されていませんが、内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針(以下「基本方針」)2021及び2022」でその方向性が示されています。まず、2020年の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響後に作成された基本方針2021では、「感染症の影響からテレワークの拡大などの変化を後戻りさせず、働き方改革を加速させる」とし、そのうえで「労働時間の削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する」と謳っています。ここで注目すべきはフェーズⅡの目的を「従業員のやりがいを高めること(エンゲージメントを高めること)」とし、そのための手段として「雇用形態をメンバーシップ型からジョブ型へ転換すること」としていることでしょう。基本方針2021を受けて作成された基本方針2022では、従業員のやりがい(エンゲージメント)を高めるための多様な働き方の選択やそのための環境整備のための施策が謳われています。いくつか例を挙げると「副業・兼業」「リスキリング」「労働条件の明確化」などは早期の法制化や財政支援が見込まれています。

コラム 2023月01月10日

《コラム》借り上げ社宅の社会保険料-現物給与価額は厚労省告示

◆社宅使用料は所得税法と社会保険法で違う
 社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、標準報酬月額を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、残業手当等諸手当、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。社宅などの住宅の貸与も現物支給に含まれます。
 所得税法では、その物件建物の固定資産税の課税標準額をもとに所定の計算をし、賃貸料相当額の計算をし、受取家賃との差額で経済的利益発生(=給与課税)の有無を認識します。
 社会保険では、現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨換算します。

◆社会保険料算定のための現物給与計算
 住宅で支払われる現物支給等である場合、1人1か月当たりの住宅の利益の額は(畳一畳につき)いくらと、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」で都道府県ごとに決められています。
 ここで計算される住宅面積は、居住用の室で計算します。住宅面積が㎡で表示されている場合、1畳あたり1.65㎡に換算して計算します。もし、勤務地がA県、社宅がB県にある場合、現物給与価額は勤務地であるA県による価額で計算します。
(住宅貸与の通貨への換算額)=(住宅面積)÷ 1.65㎡ ×(都道府県ごとの価額)
となります。都道府県ごとの価額は、日本年金機構のホームページで確認できます。
 被保険者(社員)から住宅費用を徴収している場合は、換算額から徴収額を差し引いた額が報酬額となります。換算額と同額以上の住宅費用を徴収している場合は、住宅貸与による報酬の額はゼロとして取り扱われます。

◆所得税法と社会保険法でどちらが優先?
 それぞれの規定で経済的利益の課税や現物給与発生の有無が決まってくるので、借り上げ社宅の場合、両方の計算をして、入居者から徴収する金額を決める必要があります。
 地域によっては、社会保険の現物給与額の方が所得税計算よりも高く算定されることもあるようです。往々にして所得税の経済的利益の有無の確認のみで安心しがちです。社会保険料の計算にも影響を与えないかどうか、社会保険労務士さんにも相談して手続きを進めることがおすすめです。

税務トピックス 2023月01月10日

タワマン節税が法規制へ

 タワマン高層階の実勢価格と相続税路線価のかい離を利用した「タワマン節税」について、政府・与党は相続税評価額の算定ルールを改める方針を固めました。24年度以降の改正を目指しています。タワマン節税を巡っては2022年4月、実勢価格14億円のマンションを0円で申告した納税者に対して追徴課税した国税当局の処分の妥当性が争われ、国税側の主張を認める最高裁判決が下されています。

 マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら固定資産としての評価額は変わりません。その一方で、実売価格は眺望のよい上階になればなるほど高くなるため、高層階ほど実勢価格と評価額の開きが大きくなる傾向があります。例えば同じマンションのなかでも、1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続税評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれます。数十階にもなるタワーマンションであれば、低層階と高層階の価格の開きが1億円以上になることも珍しくないため、節税効果もその分大きくなります。これを利用して、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するのが「タワマン節税」です。

 22年4月に最高裁判決が下された裁判では、2棟のタワーマンションを計14億円ほどで購入した納税者が、相続税評価額によって価額を3億円ほどまで引き下げ、さらに購入に当たっての借入金を債務として差し引いて2棟のマンションを0円として申告していました。最終的に追徴課税処分を行った当局側が勝訴したものの、あくまで合法の範囲内で行った相続税対策に対して後出しで追徴課税を行うのは横暴との反発の声も出ていました。

 そこで政府・与党は、相続税評価額のルールそのものの見直しに着手することを決めました。自民党税制調査会の会合では、国税庁からタワマン節税規制の必要性が示され、23年に不動産鑑定士や学者らで構成する有識者会議を設置することを決定。具体策を詰め、評価方法を定める財産評価基本通達の改正を行います。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月01月3日

(前編)個人事業主が立替え払いした交通費等の源泉徴収の扱い

企業がフリーランスと業務委託契約を交わし、企画・デザイン制作や原稿、講演などを依頼するケースがあります。
 会社は出張を伴う業務を依頼したA氏から請求書を受け取ったものの、その請求書にホテル代と交通機関の領収書が入っており、出張した際、旅費・交通費等を立替払いしたものですが、この立替払いの旅費・交通費等を精算した場合には、報酬・料金と同様に源泉徴収する必要があるのか疑問となるところです。

 この点について、個人事業主として事業を行っている弁護士、税理士、デザイナーなどのフリーランスに支払う旅費・交通費等に対する源泉徴収の有無については、謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われるものは、報酬・料金の性質を有するものとして、源泉徴収の対象になると規定されております。
 ただし、報酬・料金等の支払者が、直接、交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合には、報酬・料金等に含めなくてもよいとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年11月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2023月01月3日

(後編)個人事業主が立替え払いした交通費等の源泉徴収の扱い

(前編からのつづき)

 上記のケースでは、会社は交通機関等に直接支払っていませんので、フリーランスのA氏が立替払いを行った旅費・交通費等を精算した場合、報酬・料金に含めて源泉徴収することになると思われますが、実際にはA氏が交通機関やホテル等に立替払いを行った際、「領収書の宛名」の記載がどのようになっているかによって、源泉徴収をするかどうか判断することになります。

 仮に交通機関やホテル等から「会社宛ての領収書」を受け取って精算する場合は、会社が交通機関等に直接支払いをしていませんが、実態として会社が直接支払う場合と同じものとみなして、源泉徴収をしなくてもよいですが、会社の費用であり、A氏から受領した「会社宛ての領収書」を保存することや、A氏自身の必要経費にできない旨を伝えておく必要があります。

 一方で、立替払いであっても、「個人宛ての領収書」を受け取って精算する場合は、宛名が会社ではなく、会社が直接、交通機関等に支払っているとはいえないことから、報酬・料金に含めて源泉徴収することになりますので、該当されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年11月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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