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コラム 2022月03月8日

《コラム》183日以上滞在した場合 米国から帰国した者の外国税額控除

◆米国に183日以上滞在して帰国した場合
新型コロナウィルスの変異株「オミクロン株」の世界的な感染拡大。令和3年末より政府の水際対策も強化されました。外国から帰国された方も関係者も大変ですね。
ここでは、次のような米国からの帰国者の所得税の事例を検討してみましょう。
・日本の法人の社員A(日本人)が年初に米国へ5月までの予定で派遣された。
・予定が長引き、11月まで米国に滞在して日本に帰国した。

◆米国の連邦個人所得税の取扱いは?
グリーンカードを有していない日本人は、次のSubstantial Presence Test(実質滞在テスト)を満たす場合、米国の税務上、米国居住者として取扱われます。
① その年度の米国滞在日数が累計で31日以上であること。
② その年度の滞在日数、前年度の滞在日数の3分の1及び前々年度の滞在日数の6分の1の合計が183日以上であること。
Aさんは、①と②を満たすため、米国居住者とされ、その年分の課税所得についてIRS(内国歳入庁)に個人所得税申告書(Form1040)を作成し、申告納税を行わなければなりません。申告期限は翌年4月15日ですが、最長10月15日まで延長できます。

◆日米租税条約(短期滞在者免税)は?
日米租税条約14条(給与所得)には、短期滞在者免税の規定があります。Aさんは、12カ月の期間を通じ滞在期間が183日を超えており、この規定は適用されません。

◆日本の所得税の取扱いは?
Aさんは派遣期間が予め1年未満とされており、出国時に日本居住者とする取扱いをしている場合には、変更する必要はありません。この場合、Aさんは、日本居住者として、全世界所得につき日本の所得税の申告義務を有することになります。

◆米国申告4月。外国税額控除はどうする?
この場合、米国と日本の所得税が二重に課税されてしまっているので、日本側で外国税額控除を適用できます。ただし、米国の申告期限が4月15日なので、日本の申告期限に間に合わないことも有り得ます。
実務では、当年分の所得税申告で明細書を添付し、翌年分に外国税額控除余裕額を繰越すやり方も考えられます。

税務トピックス 2022月03月1日

(前編)青色申告と白色申告の記帳や帳簿等の保存の相違点

青色申告でも白色申告であっても、個人事業者が1年間に生じた所得を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があります。

青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳を行わなければなりませんが、簡易帳簿で記帳してもよいことになっております。
標準的な簡易帳簿の種類には、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5つあります。

青色申告者の帳簿書類の保存期間は、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの帳簿は7年、損益計算書、貸借対照表、棚卸表などの決算関係書類は7年、領収証、小切手控、預金通帳、借用証などの現金預金取引等関係書類は7年(前々年分所得が300万円以下は5年)、取引に関して作成し、又は受領したその他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)は5年となっております。
一方、青色申告者以外の白色申告者についても、記帳・帳簿等の保存制度が設けられております。

(後編へつづく)

(注意)
上記の記載内容は、令和4年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月03月1日

(後編)青色申告と白色申告の記帳や帳簿等の保存の相違点

(前編からのつづき)

事業所得等(事業所得、不動産所得及び山林所得)を生ずべき業務を行うすべての人(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない人も含む)については、帳簿を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳するとともに、帳簿や書類を保存する必要があります。

白色申告者は、収入や必要経費など必要事項がきちんと記帳されていれば、記帳の形式は自由であり、白色申告者の帳簿書類の保存期間は、収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年、業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)は5年、決算に関して作成した棚卸表その他の書類及び業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類は5年となっております。

なお、青色申告者の特典の一つに、事業所得又は不動産所得を生ずべき事業者が、正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づき作成した青色申告決算書を確定申告書に添付し、確定申告書を提出期限内に提出する場合は、これらの所得を通じて最高55万円(e-Taxによる電子申告等の場合は最高65万円)を控除できる青色申告特別控除があります。

(注意)
上記の記載内容は、令和4年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月02月22日

租特による減税額、10年間で17兆円に

 政府は研究開発や投資、賃上げなどを行った企業に減税を行う租税特別措置(租特)の2020年度分の適用実績についての報告書を通常国会に提出しました。企業向けの租特は政策効果が不透明な上に巨大企業などに恩恵が偏っていることも指摘されていて、制度是正は長年の課題となっています。

 租特は業界団体や関係省庁の要望を受け、与党の税制調査会が新設や拡充を決定しています。税収減につながる一方で政策効果が十分に検証されていないことや、巨大企業に恩恵が偏り公平性が損なわれているといった弊害も指摘されています。

 民主党(当時)政権時代の2010年に成立した「租特透明化法」に基づき、政府は毎年、企業向け租特の適用額や件数についての報告書を国会に提出するようになりました。今回提出されたのは20年度分の報告書で、財務省は報告書の数字をもとに全体の減税額を計算します。適用実績が初めて公表された11年度は減税額が9049億円でしたが、成長戦略を掲げる第2次安倍晋三政権以降に一部租特は拡充され、14年度以降は毎年度の減税額が2兆円程度にのぼっています。20年度も同程度になる見込みで、10年間で計17兆円程度に達する見通しです。

 減税額としては研究開発に使った費用の一部を法人税から差し引ける「研究開発税制」や、賃上げを行った企業に税制優遇を行う「賃上げ税制」などが特に大きくなっています。この2つは20年度分についても減税額が判明していて、研究開発税制は5053億円、賃上げ税制は1650億円でした。

 租特は中小企業のみを対象としたものもありますが、研究開発費や設備投資額などに応じて優遇する仕組みのものも多く、資金の少ない中小などは恩恵が限定されます。実際、研究開発税制では資本金100億円超の巨大企業が適用件数の54%、額では93%を占めています。税理士の試算によると、巨大企業は租特による大きな減税効果により、中小などに比べて実際の法人税負担率が大幅に低くなっているそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月02月22日

確申期到来 年またぎの入院費用の注意点

確定申告シーズンとなった中で、昨年にかかった医療費のレシートをこれから整理しようという人もいると思われます。
1年間の医療費が10万円を超えた時には、超過分を所得から差し引ける「医療費控除」の制度が使えるからです。
確定申告という年に1回の税金の手続きでは処理の方法をめぐって頭を悩ませる人も多く、医療費控除でも毎年多くの疑問が出ています。

例えば、昨年12月から今年1月にかけて入院をした時などの医療費は、昨年と今年のどちらの医療費に含まれるのでしょうか。
こうしたケースでは、原則として「支払った日」が属する年の医療費として扱うのが正しい処理となります。昨年末から継続的に治療を受けていたとしても、その代金をまとめて支払ったのが今年に入ってからであれば今年の医療費となるというわけです。
またクレジットカード払いならカードを切った日が判定のタイミングとなり、たとえその後分割払いを選んだとしても、医療費に関しては最初の決済時が属する年で判断します。

特にややこしいのは、入院などをして健康保険組合や共済組合から一時金などを受け取った時です。「医療費」を計算する際にはこれらの一時金を差し引かなければなりません。
すなわち、控除対象となる医療費が一時金の分だけ減額されることになります。
さらに入院が年をまたいでいるケースでは、それぞれの年にかかった医療費の割合に応じて各年の一時金の受取額を案分しなければならないので注意が必要です。

例えば一時金が30万円で、対象となる医療の費用が昨年は医療費全体の4割、今年が6割だとするなら、それぞれ昨年の医療費から12万円、今年の医療費から18万円を差し引くのが正しい計算方法となります。

<情報提供:エヌピー通信社>

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