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税務トピックス 2022月02月15日

税務調査の「後出し経費」が不可に

 2022年度税制改正大綱には、税務調査での「後出し経費」のルールの見直しが盛り込まれました。また帳簿の不備に対して追徴課税を上乗せするペナルティーも盛り込まれ、これらは納税者にとってはさらに税務調査が厳しくなることを意味します。

 税務調査の場面では、仮装・隠蔽や無申告を指摘された納税者が、それまで申告していなかった簿外経費を持ち出して所得を減らそうとする〝後出し〟をすることが少なくありませんでした。
 こうした簿外経費を大綱では、「適正な記帳や申告が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大で、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う」としたうえで、簿外経費の〝後出し〟で「悪質な納税者を利するような事例も生じている」ことから、厳格化に踏み切りました。

 23年からは、仮装・隠蔽・無申告のいずれかがあった年の確定申告書に記載されなかった経費については、帳簿書類などにより費用が生じたこと、支出先の相手先が明らかであり反面調査によって支出が確かめられることなどの条件を満たす場合を除いては、原則として損金にできないこととされました。

 また過少申告加算税および無申告加算税については、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかったり、売上金額や収入金額の記帳が不十分だったりしたときには、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額に、ペナルティーが加算される見直しが盛り込まれました。
 具体的には、帳簿を提出できないか、提出したとしても売上金額または収入金額の2分の1以上が記載されていなかったときには本則の加算税に10%が上乗せされます。たとえ提出したとしても、売上金額または収入金額の3分の1以上が記載されていなかったときは5%が上乗せされるというものです。24年1月以降に法定申告期限が到来する国税に適用されることとなっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月02月8日

政権の看板「賃上げ税制」の改正

 昨年12月に決定した2022年度の与党税制改正大綱は、「賃上げ税制」の拡充など岸田文雄政権の看板政策を前面に押し出す内容となりました。自民党税調の宮沢洋一会長は「成長から分配へという政策の第一歩を税制で支援することができた」と胸を張りますが、制度の使い手である事業者からは厳しい評価も聞こえてきます。

 国は今回の税制改正で、賃上げした企業に対する優遇税制の控除率を最大で大企業は30%、中小企業は40%に引き上げます。岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」につなげる狙いですが、新潟県柏崎市で自動車向け部品の製造会社を経営する男性は「従業員の賃上げをしても税優遇を受けられるのは一回きりだが、一度賃上げした賃金は簡単には下げられない。経済の先行きが不透明な中、多少制度で優遇されたからといって簡単に賃上げなどできない」と苦言を呈します。男性の会社は決算で黒字を出していますが、これまで制度を利用したことはないといい、「制度自体が企業の雇用実態に合っておらず、使いにくい」と明かします。

 静岡県熱海市でコンサルタント会社を営む男性も、賃上げ税制の実効性に疑問を抱いているといいます。男性は「賃上げを本気で実現したいなら、税制や補助金以外の優遇策を講じるか、資産税など遊休資産に対する課税を検討すべきだ。ただ、遊休資産への課税を制度化すると、優良企業の海外移転が加速する可能性もある」と見ています。

 一方、今回の税制改正では、金融所得課税の見直しや炭素税の導入に向けた議論は見送られました。税制の専門家も「地球温暖化への対応や格差の是正など、日本の経済や社会が抱えている諸課題を全て先送りした税制だ」と指摘するなど、全体として厳しい評価に直面する税制改正となりました。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月02月8日

申告漏れが多い業種、顔ぶれガラリ

 国税庁がこのほど公表した2020事務年度の所得税調査の実績によれば、個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が最も高額だった業種は、プログラマーでした。コロナ禍で実地調査件数が減少するなかで、当局が1件当たりの〝成果〟を重視した結果、上位の顔ぶれががらりと変わる結果となっています。

 20事務年度にトップだったプログラマーの1件当たり申告漏れ所得金額は4927万円。以下、2位が畜産産業(肉用牛)の3515万円、内科医の3339万円と続きます。プログラマーについては、暗号資産などの自動売買プログラムといったソフトの開発を手がけたプログラマーが約2億円の所得隠しを指摘されたケースもあり、こうした数字も反映されました。

 例年であればトップ3の常連だった「夜の職業」関連では、キャバクラが2834万円で4位に名を連ねましたが、23年連続で上位5位に入っていた風俗業はランキングから外れました。風俗業はコロナ禍の影響を最も受けた業種の一つであり、利益が激減したため調査先に選ばれにくかったことが影響したとみられます。

 業種ごとの1件当たりの追徴税額を前年度と比べてみると、前年はランクインしていた土木工事、ダンプ運送、タイル工事、冷暖房設備工事などはいずれも1件当たり100万円台にとどまりました。一方、今年度に新たにランクインした業種をみると、太陽光発電825万円、建築士624万円、小売業・犬456万円、不動産代理仲介614万円など前年より高額化が目立ちます。コロナ禍で実地調査の件数を減らさざるを得ないなかで、1件当たりの〝取れ高〟を重視した当局の姿勢が表れたものといえそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2022月02月1日

《コラム》空き家の取壊しはいつまで? -相続空き家の特例-

被相続人の居住用家屋と敷地を相続したものの、今後住む予定がなく売却する場合、譲渡益の3000万円控除(相続空き家の特例)を受けるには、相続人の側で空き家を取り壊し、更地で売却することが現実的です。

◆空き家取壊しのメリット、デメリット

空き家を放置するとゴミが不法投棄され、台風で屋根が飛ばされるなど近隣に被害を及ぼして苦情を受けるリスクが生じますが、取り壊すことで回避できます。
一方で空き家の取壊しには、工事費用がかかるほか、アスベストの飛散防止をはかることの行政への届け出、近隣への事前説明など環境に配慮した手続きの義務が生じます。また、すぐに売却先が見つからずに更地のまま1月1日を迎えた場合、固定資産税・都市計画税に小規模住宅用地の減免措置(200㎡まで固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減免)は適用されません。

◆特例の適用要件

相続空き家の特例を受けるには、①相続開始直前に被相続人が一人で居住していたこと②区分所有建物でないこと③昭和56年5月31日以前の建築であること④譲渡金額は1億円以下⑤相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること⑥耐震基準に適合するよう空き家をリフォームしてから売却、または取り壊して更地で売却するなど要件があります。

 

◆取壊しは売却前に相続人で行う

以上の要件から空き家の取壊しは売却前に実施しないと特例が適用されません。売主としては取壊しが面倒なので買主に依頼し、その分、売却価格で調整して済ませたいと考えたくもなりますが、この場合は譲渡後の取壊しとなるので、3000万円控除を受けることはできません。
なお、譲渡所得の申告に際し、譲渡日を引渡日とする方法と契約締結日とする方法を選択できますが、譲渡日を契約締結日とする場合は、空き家の取壊しは契約前に済ませるよう注意が必要です。

 

◆空き家を相続したときは

3000万円控除を受けるには、特例の適用要件を満たしていることを確認し、解体業者から工事費の見積りを先に取得します。不動産仲介会社で売却先が見つかったときは、売主の側で空き家を取壊すことを条件に解体工事を発注し、売買契約では更地での譲渡、工事完了後の譲渡日の設定がポイントになりそうです。

コラム 2022月02月1日

《コラム》非居住者である家主へ 国内不動産家賃を法人が支払う際の留意点

◆非居住者所有の不動産賃料に係る源泉税

社宅物件を探している関与先さんから、「仲介業者から家主が海外居住者の場合に対応可能かどうか聞かれたが、どういう意味か」との質問を受けました。
所得税法では、「非居住者や外国法人(以下「非居住者等」)から日本国内にある不動産を借り受け、日本国内で賃借料を支払う者(ただし自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人が支払うものを除く)は、その支払の際20.42%の税率により計算した額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない」と規定されています。仲介業者の質問はこの対応の可否のことです。
なお、家主が日本人であっても、1年以上の海外駐在等で、不在期間中に自宅を賃貸している場合も非居住者家主となりますので、注意が必要です。

 

◆非居住者の居住国と租税条約がある場合

家主が現在居住している国と日本国との間に租税条約が結ばれている場合には、租税条約の定めるところにより、源泉徴収が免除または軽減されることがあります。
しかしながら、2022年1月現在、我が国が締結している多くの租税条約では、土地等の不動産の賃貸料については、不動産の所在する国においても課税できるとの規定を置いています。よって、非居住者等に対して日本国内の不動産賃借料を国内で支払った場合には、所得税法の規定により20.42%の源泉課税が必要となります。

 

◆貸主に源泉徴収免除証明書がある場合

借主に支払時の20.42%の源泉所得税徴収と納税義務を課しているのは、非居住者等の申告漏れを防ぐ目的があります。
そのため、非居住者等が、きちんと申告しますよという宣言(税務署長への申請)をして、税務署長から源泉徴収の免除証明書の交付を受ければ、源泉徴収の免除となる手続きもあります。交付された免除証明書を賃借人に提示すれば、その証明書が効力を有している間の支払について、源泉徴収の免除が受けられることとなります。
借主である賃借人からすれば、家主が非居住者等である場合には、日本国の税務署長が発行した「源泉所得税の免除証明書」の提示を受けない限り、家賃支払時には20.42%の源泉税を国に納付し、家主へは残りの79.58%の賃料を支払うこととなります。

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