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税務トピックス 2021月06月15日

NPO支援は「トンネル寄付」か否か

NPO法人などの市民組織に助成する地方自治体の事業への会社の寄付が、企業版ふるさと納税の税優遇の対象になることを福岡国税局が文書で示しました。NPO法人等への直接の寄付とみなされる「トンネル寄付」に該当して税優遇の対象にならない可能性があったことから、佐賀県がその適否について福岡局に確認を求めていたもので、県は今回の回答を踏まえて市民組織を助成するスキームを運用します。

トンネル寄付とは、形式的には国や地方自治体を通じて金銭が交付される仕組みでも、実質的には寄付する者が金銭を直接交付している状態と変わらない寄付のことを言います。佐賀県が今回照会したスキームで見ると、県が企業から寄付を集め、寄付金基金に積み立てた後、NPO法人やボランティア団体などの市民組織に寄付金を交付することが、県を経由していても実質的には「企業からNPO法人への直接の寄付」とみなされるおそれがありました。トンネル寄付に該当すると企業版ふるさと納税の対象にはならず、企業は通常の寄付税制しか適用できなくなります。

しかし佐賀県が照会した市民組織への助成事業はトンネル寄付に該当しないと国税当局は判断しました。交付対象者を県の審査委員会の審査を経て県が採択することや、決算では監査委員の審査や住民への公表が行われることなどから、寄付金の支出先を決定するのが寄付者である会社ではなく県であると判断されました。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2021月06月8日

教育資金贈与特例が厳格化

1500万円までの教育資金の一括贈与を非課税にする特例の要件が、4月1日から厳格化されました。2021年度税制改正法によるもので、今後は贈与後の使い残しに、相続税が課される可能性が高くなります。

教育資金贈与の非課税特例は、30歳未満の子や孫への一括贈与について、教育資金であれば受け取る側1人あたり1500万円まで贈与税を非課税とするもの。受け取った側が30歳(学校に在籍しているなどの要件を満たせば40歳)になった時点で使い残しがあれば、残額に贈与税が課されます。

そもそも財産を引き継ぐには大きく分けて相続と生前贈与の2種類があり、ケースバイケースではあるものの、概して贈与のほうが税負担がトータルで少なくなる傾向にあります。税負担だけを考えれば計画的に生前贈与を行ったほうが得ですが、本人が健在なうちは財産の引き継ぎを真剣に検討しないこともあり、健康に何らかの問題が生じてから贈与を実行する人も多いのが現状です。

そうした生前の〝駆け込み贈与〟によって税収が減ることに歯止めをかけるため、相続税法では原則として、「相続発生前3年以内の生前贈与については、相続財産として扱う」という規定が設けられています。この規定について教育資金の贈与特例ではこれまで、贈与の残額を一定の例外を除き「3年持ち戻し」の対象に含めるとしています。言い換えれば、贈与から3年が経っていれば相続税の課税を免れることが可能でした。

しかし4月以降の贈与については、この持ち戻しの対象が無期限に延長されます。何年前の贈与であっても、受贈者が23歳未満であるか在学中か教育訓練受講中であるときなどを除き、すべて相続財産に持ち戻すようになります。

さらに今回の見直しでは、孫・ひ孫への相続税の課税強化も行われました。相続税の原則として、法定相続人ではない孫・ひ孫への相続税は2割加算されるルールがあります。しかしこれまでは教育資金として一括贈与しておけば、たとえ3年持ち戻しの対象となって残額に相続税が課されても、2割加算ルールからは除外されるという優遇が設けられていました。これを4月以降の贈与については、原則通り2割加算の対象とするよう見直されています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2021月06月8日

ユーチューバーに税務情報提出を義務付け

米グーグル社の日本法人はこのほど、動画配信サイト「Youtube(ユーチューブ)」の動画投稿者に対して税務情報の提出を義務付けることを通知しました。米国で動画投稿者への課税が強化されることを受けた措置で、5月31日までに提出しないと最大で収益の約4分の1を源泉徴収するとしています。

ユーチューブのコミュニティページによれば、今年6月以降、米国以外に在住する投稿者が米国内で得た収益に対して税金がかかる可能性があるそうです。動画投稿者が得られる再生数に応じた広告収入、配信中に視聴者から得られる〝投げ銭〟に当たる「スーパーチャット」、有料メンバーシップの会費などを米国在住の視聴者から得ていると、米国での所得税の対象となることが理由です。対象となる投稿者は、マイナンバーをグーグル社に提出する必要があるとしています。

実際には、日本の投稿者が米国の視聴者から利益を上げていても、米国の税金はかかりません。両国は、二重課税を防止するための租税条約を締結していることがその理由です。
しかし期限までに税務情報を提出していないと、条約による優遇措置が適用できず、最大で収益の24%が源泉徴収されてしまう可能性があります。

小学生のなりたい職業で「YouTuber(ユーチューバー)」が上位にランクインするなど、人気の動画投稿者はいまや多額の所得を得る存在です。最近では、2Dのイラストや3DCGなどの外見を用いて配信する「バーチャルユーチューバー」も人気を博しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2021月06月1日

《コラム》日本経済の救世主になれるかM&A促進税制

◆政府がM&Aに熱い視線
経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの後押しをする姿勢を鮮明にしています。
「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、平均引退年齢の70歳を超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定とのことです。
廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失されてしまうことは、日本経済の発展にとって大きな損失との認識で、M&Aの普及がその対策として有効な切り札であり、生産性の向上にも資するとしています。そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就するとの計画を立てています。

◆計画実現のために役割喚起
そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに、商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に向けても、それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを提示しています。
M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度とのことです。日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。

◆切り札としてのM&A促進税制
令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。
1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度
2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度
株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項としてあげていたものですが、会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優遇税制です。
もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。
M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。
・青色申告中小企業者が対象
・経営力向上計画による取得
・株式の取得価額10億円以下
・投資損失準備金の計上
・6~10年経過時準備金の取崩し
・中小経営強化法改正が前提
・令和6年3月31日まで適用

コラム 2021月06月1日

《コラム》労災保険特別加入の対象拡大

◆新たに3業種が追加
労災保険は事業に雇用されている労働者の業務上のけがや傷病を補償するものですが、災害発生状況の多い個人事業主に対しても加入が認められている特別加入制度があります。現在は中小企業事業主、建設業の一人親方、農林漁業の従事者、海外派遣者、個人タクシー業者、個人貨物運送業者等が特別加入の対象者ですが、4月1日より対象範囲が拡大されることになりました。

◆新たに対象となる業種
①芸能従事者……テレビや映画、舞台の俳優・監督・演出家・スタッフ・音楽家等。芸能従事者は業務上のけがや事故が多いことから特別加入の対象になることを強く希望していました。長年の議論によって認められることとなりました。
②アニメ―ション制作従事者(アニメーター)……時代とともにアニメーション制作も増え、雇用されていない制作者が多くいることから対象となりました。
③柔道整復師
厚労省ではこれら3業種の就労者は約29万人いるとみて、約1万5000人の加入を想定しているとのことです。

◆創業支援等措置の高齢者も加入可能に
労災保険の特別加入の対象拡大は4月1日施行の高年齢雇用安定法改正(70歳までの雇用努力義務)によって新設された創業支援等措置の対象者にも適用されることになりました。
創業支援等措置は65歳から70歳までの労働者の就業機会を確保するための高齢者就業確保措置の1つで、雇用にはよらないため業務委託契約を締結する必要があります。企業側も措置の実施に関する計画書の作成、労働者代表者との同意が必要になります。

◆特別加入をするには
労災保険の特別加入はそれぞれの業種の特別加入団体(中小企業は事務処理を委託する労働保険事務組合)を通じて所轄の労働基準監督署に手続きを行うことで補償を受けることができます。新しい業種の加入希望者は既存の団体に加入するか、新たに特別加入団体を設立することになります。

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