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その他 2024月01月9日

【時事解説】事業承継を契機とした企業成長に向けた後継経営者の準備その2

 では、事業承継を契機とした企業成長に向けて、後継経営者にはどのような取組みが求められるのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2023年版」において、後継経営者が事業承継後を見据え、製品開発に向けた社内体制を整えたことで成長につなげた事例として紹介された、ダンレックス株式会社(東京都中央区)の取組みについてみていきましょう。

 ダンレックス株式会社は工事現場で使用される保安灯や安全ベストなど、保安用品の企画・開発・販売を行う企業です。現社長は、大手機械メーカーで勤務した後2014年に入社、営業を担当する中で、他社製品との違いを打ち出せず価格競争に陥っている状況に危機感を抱きました。

 こうした状況の打開策を検討するべく、時代のニーズに合った製品を開発し、知的財産権を活用して他社と差別化を図ることが自社の成長に向けて重要だと考え、事業承継前の段階から準備を始めました。

 まずは製品開発の土台づくりとして、現社長の工業高校時代の担任講師に依頼し、社員向けに月1回の勉強会を開催することで社員の基礎知識を着実に増やすとともに、現社長自ら社員と密にコミュニケーションを取りつつ、新製品に関する意見やアイデアを出しやすい環境づくりに努めました。さらに、年に1回は特許出願を行うなど、知的財産権の取得にも積極的に取組むことで、他社製品との差別化やブランドイメージの向上を図りました。

 上記の事業承継前からの取組みが奏功し、社長就任以降売上高が増加傾向にあるとともに知的財産権の取得も進んでいます。

 このように、後継経営者が事業承継後を見据え、新たな取組みを行うことが、承継後の自社の成長・発展に結びつくのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2024月01月9日

【時事解説】事業承継を契機とした企業成長に向けた後継経営者の準備その1

 事業承継においては、経営資源を次世代へ円滑に引き継ぐだけでなく、後継者が事業承継後に自社を更に成長・発展させていくことも重要です。
 中小企業庁編「中小企業白書2023年版」では、中小企業を対象に実施したアンケート調査に基づき、後継者が事業承継を契機として企業を成長させる上で必要な取組みについて分析しています。

 まず事業承継の類型別に、事業承継の準備期間についてみると、「親族内承継」は、他の類型と比較して準備期間が長い傾向にあり、「5年以上」と回答した割合が約3割と最も高くなっています。一方で、「社外への引継ぎ」は準備期間が短い傾向にあり、「準備期間はなかった」と「1年未満」の回答割合の合計が7割近くを占めています。
 次に、事業承継の類型別に、後継者の準備期間中の取組みについてみると、どの類型においても、「自社の経営資源・財務状況の理解に努めた」と回答した割合が5割を超えています。

 また「親族内承継」においては、「現場で働き、自社の技術やノウハウ、商習慣等を学んだ」、「学校やセミナー等に通い、経営に関する知識やスキルを学んだ」と回答する割合が高くなっています。「親族内承継」は他の類型と比較して準備期間が長いことから、各現場を回って経験を積むことや、学校やセミナー等を利用するなど、経営に関する学習を行う傾向にあることが見て取れます。一方、「社外への引継ぎ」では、「従業員と自社の課題等について話し合う機会を設けた」と回答する割合が高くなっています。「社外への引継ぎ」の場合、特に社内から信認を得る必要があることから、従業員とのコミュニケーションを強化する取組みを重視する様子がうかがえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

コラム 2024月01月2日

《コラム》会社役員の社会保険加入は義務?

◆社会保険適用範囲の拡大で加入該当者増
 企業や一定の団体などで働く人は原則社会保険に加入します。パートやアルバイト等で勤務の時間や日数が少なく加入しない場合もありますが、最近は適用範囲が広がり加入該当者は増えています。
 社会保険は生活や仕事で起こる様々なリスクに備えるための制度です。病気やケガ、介護、失業、高齢になった時の生活保障等の事象が起こった時に給付を行い、生活を支えます。健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険があります。一方雇用されていない役員はどのような加入条件なのかをみてみたいと思います。

◆社会保険加入の条件は
 まず社会保険の加入の条件を確認します。法人は基本的に社会保険に加入する必要があります。会社を設立した時は「適用事業所」となります。ただし、以下の時は適用事業所にはなりません。
・従業員が5人未満の個人事業所、理美容業、飲食業など
・農林漁業の個人事業所
 続いてそこに働く人が社会保険の加入条件を満たしているかどうかです。対象となる人は会社の代表者、会社の役員(一定の条件有)、正社員、パートやアルバイトで会社の1週間の所定労働時間の4分の3以上の労働時間、労働日数で働く人です。
 ただし、4分の3未満でも従業員101人以上の企業(2024年10月から51人以上)で働く人で週の所定労働時間が20時間以上、勤務期間が2か月以上の見込み、月額賃金8万8千円以上で学生以外の人は対象となります。

◆会社役員の社保加入の判断は?
・役員報酬がない場合、加入義務はない
・役員報酬が払われていれば加入対象
 ただし、非常勤の役員に加入義務はない
・定期的に出勤するなど、常勤の役員か
・役員会等への参加、経営に参画している
・仕事内容に見合った役員報酬
・他の会社との兼務はあるか等
 また、会社役員は基本的に労災保険・雇用保険の対象外ですが労災保険は特別加入制度があります。また、兼務役員などで一部は労働者の業務を行っているときは労災保険や雇用保険も対象にされる場合があります。「兼務役員雇用実態証明書」を所轄のハローワークに提出しておきましょう。

コラム 2024月01月2日

《コラム》雇用契約書と労働条件通知書どう違うの?

◆労働契約の締結
 労働契約とは、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて労働者と合意すること」です。
 労働契約はお互いが合意すれば口約束でも成立しますが、労基法で労働契約を締結する際には労働条件を書面の交付により明示することとなっています。2019年より従業員が希望した場合は書面以外にFAX、電子メール、SNSでも認められています。
 また、労働条件通知書は一方的に交付されるもので雇用契約書は「労使双方の合意が必要である」という点で異なっています。労働条件通知書は作成・交付が義務づけられていますが、雇用契約書は義務づけられてはいませんが合意が必要になります。
 また、他方「業務委託契約」は当事者一方が注文主から受けた特定の仕事(委託業務)の処理や、仕事の完成(成果物)を約束し、それに対して報酬を支払う契約です。請負契約や委任契約となり労働契約のような使用者と労働者という関係ではありません。

◆労働契約書は何を記載する
絶対的明示事項(必ず記載する内容)
①労働契約の期間に関する事項
②有期労働契約の更新の基準
③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
④始業・就業時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制勤務があればその事項
⑤賃金の決定計算、支払い方法、賃金の締め日、支払日。昇給、賞与、退職金に関する制度があればその事項
上記以外に定めがある場合は明示する。

◆令和6年4月から労働条件明示事項が追加
①雇い入れ直後の就業の場所及び業務内容とこれらの変更の範囲
②有期雇用契約は通算契約期間、更新上限回数の明示
③有期契約期間5年超の方の無期雇用転換事項なども明示されるようになり、労働条件の先を読む必要が生じます
 労働条件の変更時にも雇用契約書や労働条件通知書を作成しますが、変更した内容がわかりやすいのは労働条件通知書です。しかし、もし不利な条件に変更の場合は、同意を得ておかないとトラブルになりかねませんので、雇用契約書で労使双方のサインがある書式が良いでしょう。

その他 2023月12月26日

【時事解説】銀行が取るリスクとリターン その2

 だから、銀行は自分より信用度の低い企業に貸出を行い、収益を獲得してきたのですが、カネ余りの中でどこの銀行も事情は同じですから、そうした信用度の低い企業に対する貸出が増加しました。そうすると、競争原理から信用リスクの高い企業に対する貸出の金利が下がってきます。世界的低金利の中、優良企業に対する貸出金利はほとんどゼロに近づき、下げ余地がなくなっていますから、かつて存在したクレジットリスクに応じた金利差が徹底的に圧縮され、銀行のリターンも減少しているのです。

 ただ、優良企業に対する貸出でも収益を上げることができる場合があります。それは期間リスクを取ることです。貸出期間が長いほど、貸倒リスクは高まりますから、金利は高くなります。銀行預金は1年以内の短期が大部分なので、10年とかの長期貸出を行えば、利ザヤが獲得できるはずです。ですから、かつては期間10年の国債を購入すれば、国の信用度は当該国内で最高級に位置づけられるので、クレジットリスクのリターンは望めなくても、期間リスクに応じたリターンは取れたのです。ところが、長期貸出金利の指標となるこの長期国債の金利は、民間の購入に加え、異次元の金融緩和に伴う日銀の購入によるインパクトで、かなり低くなっています。その結果、期間リスクに応じたリターンも縮小しています。

 このように、カネ余りと日銀の金融緩和政策が銀行の収益機会をことごとくつぶしてきており、現状の金利体系はリスクに応じたリターンとは言えない状況です。経済的に平穏な状態が続けばいいのですが、ひとたび企業の破綻懸念が顕在化すれば、たちどころに銀行経営は苦しくなることが予想されます。銀行はこれからのビジネスモデルをどう描くのかが問われています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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