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コラム 2021月05月11日

《コラム》副業が事業所得となる日は来るか?

コロナ禍で会社員の副業が身近なものとなっています。国は成長戦略の中で既に新しい働き方として兼業・副業推進の環境整備に取り組んでいます。しかしながら、副業に対する所得税の扱いは旧来のままです。

 

◆給与所得と事業所得の違い

副業に対する所得税の扱いで最初に問題になったのは、給与所得に該当するのか事業所得に該当するのかという論点でした。
最高裁昭和56年判決は、給与所得とは、会社との雇用契約のもと、使用者の指揮命令を受ける従属関係において提供される労務の対価であり、事業所得は、「自己の計算と危険」のもと、独立して営まれ、営利性、有償性、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得であると判示しました。

 

 

◆副業は事業所得か?雑所得か?

副業が雇用関係になく従属関係もない場合、給与所得でないことは明らかです。とすれば副業は事業所得になると理解してよいでしょうか? この点、課税庁は、副業を「一般的に雑所得である」としており、給与収入に対する副業収入の規模や、設備の状況、営業日数(会社勤務の時間以外にどれくらい割り当てるか)などを勘案して雑所得と判定しているようです。平成30年頃までは、上記の要素を勘案して副業の損失金額を事業所得の損失と認めず、他の所得との損益通算を認めなかった判例が多くあります。

 

 

◆副業が事業所得となる日は来るか?

これからは、会社員は勤務のかたわら、副業を普通に行えるようになり、自己の能力を高め、人脈を広げ、経験を積み重ねていくことでしょう。自身の労働時間を管理し、秘密保持と競業避止義務を守り、「自己の計算と危険」のもと働くことになります。
しかし、雑所得には、青色申告制度が適用されず、他の所得と損益通算も青色申告特別控除などの特典もありません。青色申告制度の趣旨は、自主的な納税申告のため、適正な帳簿の作成を勧奨するものです。
副業を営む会社員は、適正な帳簿を作成することで管理意識が高まり、自律した仕事の仕方に転化していくことでしょう。経営者にとっても社員のスキルが高まり、社外から新たに優秀な人材を確保する機会になるのではないでしょうか。副業が普通に事業所得と同様に位置付けられることはないのか。さて税の対応は?

税務トピックス 2021月05月4日

税務の「プロ野球特例」をBリーグに適用

 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)は3月、同リーグに所属するクラブの親会社や関連会社の税務処理について、東京国税局から「親会社が補てんしたクラブの欠損金は、親会社の損金に算入できる」との見解を得たと公表しました。同特例は通称「プロ野球特例」として知られ、サッカーなど他のプロスポーツにも適用できるか否かが長く謎に包まれていた過去があります。

 プロスポーツチームの損金に関する規定は、国税庁が1954年に発遣した通達、「直法1‐147 職業野球団に対して支出した広告宣伝費の取扱について」で定められています。それによれば、子会社である球団に生じた欠損金を親会社が補てんするために支出した金は、損失額を限度として、「広告宣伝費の性質を有するもの」として取り扱うとあります。親会社である企業が赤字を埋めると、その分は親会社の「広告宣伝費」として、損金に算入できるというものです。この規定がなければ、親会社による赤字補てんは会社から会社への利益移転や寄付扱いとなり、様々な税負担が生じることとなります。

 ただ同規定では「職業野球団」とのみ書かれていることから、このルールが他のスポーツにも適用できるかどうかは50年以上にわたり明確でありませんでした。しかし新型コロナウイルスによってスポーツイベントの開催が長期休止や観客減少を余儀なくされ、各クラブの財務状況が厳しくなっていることを受け、ついにJリーグが昨年、国税当局に明確化を求め、プロ野球と同じ扱いでいいという回答を得ています。

 このほどBリーグが投げかけた「昨年示された回答の『Jリーグ』とあるものは『Bリーグ』と読み替えてよいか」との質問に対し、東京国税局は「同様に取り扱って差し支えない」と答えています。おおむね他のプロスポーツにも同規定が適用されるものとみてよさそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2021月05月4日

IT企業の法人減税を検討

経済産業省が国内のIT企業の法人税引き下げを検討しています。海外向け事業の収益に課す税負担を国際水準まで引き下げることで、企業が税金の安い国や地域に移転するのを防ぐ狙いだそうです。しかし、コロナ禍で国の財政状況が悪化しているなかでさらなる法人減税を推し進めることには、財務省などから慎重な意見も出ています。

IT企業はインターネットを通じてサービスを提供するため、店舗や工場などを設置しなくても経済活動を行うことができます。そのため、低税率の国に会社登記や管理機能を備えたオフィスを用意することで、各国内で生み出した利益を移転する課税回避策が有効でした。

 

こうした事情から各国の間では企業の本拠を呼び込むための低税率競争が激化してきた経緯があります。そこで経済協力開発機構(OECD)は、いたずらな法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけるための国際ルールの素案を昨年10月に公表し、検討を進めてきました。

 

OECDのルールでは、低税率国として知られるアイルランドの法人税率12.5%を最低税率の目安とする案が有力視されています。現状の日本で適用される最低税率を下回ることから、経産省は国際ルールの最低税率に見合った水準にまでIT企業の税負担を引き下げることで海外移転を防ぐ狙いです。

 

しかし、コロナ禍で国の財政が悪化するなか、財務省は税率の引き下げには慎重姿勢を見せています。また、これまで段階的に引き下げられてきた法人税の減収分が消費税によって賄われているとの批判もあります。そうしたなかでのIT企業に限った法人減税策は「一部の業種を優遇し、減収分を国民全体で負担するのでは差別的だ」(都内の製造業者)などと批判の声も上がっています。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2021月04月27日

《コラム》押印不要の書類が増えています

菅内閣は脱ハンコ、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めています。これに伴い、税務書類についても押印が不要となる書類が増えてきました。

◆税務署窓口における押印の取扱い

令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、この中で、税務関係書類(国税に関する法律に基づき税務署長等に提出される申告書等)の押印の見直しが行われました。提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、一部の税務関係書類を除き、押印を要しないこととする方針が示されました。そして、この取扱いは原則として令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する予定となっていましたが、一方で「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない」ともされていました。
この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととしています。

 

◆振替納税やダイレクト納付の手続も

従来、振替納税やダイレクト納付をしようとする場合には、それぞれ「振替依頼書」や「ダイレクト納付利用届出書」に金融機関の届出印を押印する必要がありました。これらの手続も令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出することが可能となりました。
さらに、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付も不要となります。

 

◆押印が必要な書類も

とはいえ、担保提供関係書類・物納手続関係書類の一部や遺産分割協議書、特定個人情報の開示請求、閲覧申請手続など、押印が必要な書類もまだまだありますので注意しましょう。

税務トピックス 2021月04月27日

自民党内で「消費税頼りは限界」の声

 自民党「財政再建推進本部」(本部長=下村博文政調会長)の「財政構造のあり方検討小委員会」(委員長=小渕優子元経済産業相)が3月中旬、東京・永田町の党本部で開かれました。新型コロナウイルス対策で悪化した財政の健全化が急務との認識を共有する一方、一部議員からは社会保障財源を今後も消費税に頼ることに限界があるとの見解も示されています。

 同本部は例年3月ごろに始動して、政府が6月に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」をまとめるのに合わせ、経済成長と財政再建の両立に向けた党としての改革案を提言しています。小委はその具体策の取りまとめを担う組織です。昨秋は、医療機関に支払う窓口負担の引き上げ(1割→2割)の対象となる後期高齢者の範囲を巡り「原則全員」とする中間報告をまとめ、高所得層に限定すべきだとした医師会・厚生労働省系の議員らと対立しました。

 この日の会議は冒頭以外、非公開で行われました。出席者によると、日本経済研究センターの小峰隆夫研究顧問が日本の経済財政の課題について講義し、財政悪化の主因である社会保障費は「安定財源としての消費税を必要としている」と指摘。これに対し、一部議員が「社会保障と消費税を結びつけるのはもう難しいのではないか」と疑問を呈したそうです。

 発言の趣旨について、出席した議員の一人は「消費税の増税は当面、不可能という意味で言ったのだろう」と解説します。菅義偉首相が「10年間は引き上げない」と公言していることも背景にあるとみられます。

 財務省幹部らは一様に「消費税は10%に上げたばかり。すぐまた増税とはいかない」と認めています。とはいえ、党内でも財政に理解があるはずの「財政規律派」の議員からも増税に慎重な声が上がったことは、同省の今後の財政再建シナリオに影を落としそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

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